インプラントは、失われた歯を補う治療法の中で優れた選択肢のひとつです。しかし、手術を伴う治療であるため、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。今回は、口腔外科の専門医として、インプラント治療のメリット・デメリット、そして専門的な観点から注意点をお伝えします。
インプラントとは?
インプラントとは、チタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯(上部構造)を装着する治療法です。ブリッジや入れ歯と異なり、周囲の歯に負担をかけずに自分の歯に近い感覚を取り戻せるのが特徴です。
インプラントのメリット
- インプラント治療は、チタンが骨としっかりと結合されるため、自分の歯と同じように噛むことができます。見た目も天然歯に近く、審美性にも優れています。
- ブリッジの場合、両隣の健康な歯を削る必要があり、また周囲の歯に負担をかけます。それに対し、インプラントは単独で機能するため、他の歯に負担をかけません。
- 歯を失うと、顎の骨が次第に痩せてしまいます。インプラントは骨と結合し、骨に刺激を与えるため、骨の吸収を防ぐ効果があります。
- 適切なケアを行えば、10年以上、場合によっては一生使用することも可能です。
インプラントのデメリット
- インプラント治療は外科手術を伴うため、治療期間が長くなります。一般的に、埋入手術後、数ヶ月の治癒期間を経て上部構造を装着します。
- 一般的に保険が適用されないため、治療費が高額になります。しかし、長期的に見ればコストパフォーマンスが高いとも言えます。
- 糖尿病や骨粗しょう症などの持病がある方は、インプラントの成功率に影響を及ぼす可能性があるため、事前に医師としっかり相談することが重要です。
専門医からの4つのアドバイス
- インプラント治療は、歯科医の技術と経験が成功率を大きく左右します。口腔外科の専門医や、インプラント治療の実績が豊富な歯科医を選ぶことが大切です。
- 顎の骨の状態や神経の位置を確認するために、CTスキャンなどの詳細な検査を受けることが重要です。骨の量が足りない場合は、骨移植などの追加処置が必要になることもあります。
- インプラントは天然歯と異なり、むし歯にはなりませんが、歯周病(インプラント周囲炎)になるリスクがあります。一生使えるように噛み合わせの調整と口腔内清掃のため定期的な歯科検診が必要です。
まとめ
インプラント治療は、適切に行えば非常に優れた治療法です。自分の健康状態やライフスタイルに合った選択をしてください。歯は一生の財産です。インプラント治療をしなくて済むよう日頃から適切な口腔ケアを心がけてください。
