
こんにちは。今日は「歯ぎしりってそんなに悪いの?」というご質問についてお話してみます。これ、意外と多くの方が気にされるテーマなんです。自分では気づかないけれど、家族から「ギリギリ音がしてるよ」と言われたり、歯医者で「歯がすり減ってますね」と指摘されて驚いた、なんて経験がある方も少なくありません。
まずお伝えしたいのは、歯ぎしりには想像以上に強い力がかかっているということです。普段の食事で噛むときは50〜70kgほどの力がかかりますが、寝ている間の歯ぎしりでは100kgを超えることもあります。それが毎晩繰り返されれば、歯やあごに大きなダメージとなります。
その結果として、歯がすり減って短くなったり欠けてしまったり、せっかく治療した詰め物や被せ物が割れたり外れたりすることもあります。さらに進行すると、顎関節に負担がかかって「あごが痛い」「口が開けにくい」といった顎関節症につながることもあります。知覚過敏で歯がしみたり、頭痛や肩こりの原因になることもあるのです。
加えて、歯ぎしりの症状としては 歯の摩耗、知覚過敏、骨隆起(下顎隆起や口蓋隆起)、顎関節の違和感 などが見られることがあります。ご自身では「歯ぎしりをしている自覚がない」という方でも、こうした症状がある場合は、実は歯ぎしりをしている可能性が高いので注意が必要です。
歯ぎしりの原因はまだはっきりと分かっていませんが、ストレスや緊張、噛み合わせのズレ、睡眠の質などが関係していると考えられています。日中の「食いしばり癖」が、夜間の歯ぎしりにつながっているケースも多く見られます。
治療方法として一般的なのは「ナイトガード」と呼ばれる就寝時用のマウスピースです。これは寝ている間に歯へかかる力を分散し、歯や顎を守ってくれるものです。歯ぎしり自体を「完全になくす」わけではありませんが、ダメージを防ぐ効果はとても大きいです。そのほか、噛み合わせの調整や生活習慣・睡眠環境の改善が有効なこともあります。
大切なのは「たかが歯ぎしり」と放置しないことです。気づかないうちに歯や顎に負担がかかり、気がついたときには歯が割れていたり、治療が必要な状態になっていることも少なくありません。早めの相談と対処が、歯を長く守ることにつながります。 歯ぎしりはちょっとしたきっかけで始まり、自分では自覚しにくい症状です。でも、早めにケアすれば十分に予防できます。「なんとなく気になるな…」「歯がしみる」「あごが疲れる」という方は、ぜひお気軽にご相談くださいね。