銀歯と白い詰め物、どっちがいいの?について

虫歯の治療の際に、「銀歯にしますか?白い詰め物にしますか?」と聞かれて、迷った経験がある方は多いのではないでしょうか。日々の診療でも、患者さんからこの質問はよくいただきます。それぞれにメリット・デメリットがあるので、「どっちが正解」というものではありませんが、選ぶ際の参考になるようなお話をしておきたいと思います。

まず、ぱっと見て分かりやすいのは見た目の違いですね。銀歯は金属なので、口を開けたときに光って目立ちやすいです。特に笑ったときに奥歯のあたりが見える方だと、「気になるなぁ」とおっしゃる方も多いです。一方で、白い詰め物は、歯の色に近い素材を使うので、治療した場所があまり目立ちません。とくに審美面を重視する方、営業職や接客業の方などには白い詰め物を希望される方が多い印象です。

費用面についてもよく聞かれます。銀歯は保険がきくので、自己負担は3 割で済みます。数千円程度のことが多く、費用を抑えたい方にはメリットが大きいですね。ただ、白い詰め物でも、小さな虫歯であれば保険適用になるケースもあります。レジンと呼ばれるプラスチックのような素材を使いますが、こちらは変色しやすく、数年でやりかえる必要が出ることもあります。見た目の自然さを求めたり、⾧く使いたいという方には、セラミックやジルコニアなどの自費素材をおすすめすることがあります。これらは保険はききませんが、そのぶん丈夫で変色もしにくく、きれいな状態を⾧く保てるのが特徴です。

あとは、金属アレルギーのリスクも意識しておくとよいかもしれません。銀歯に使われている金属は、⾧年使っているうちに金属イオンが体に取り込まれ、まれにアレルギー症状を引き起こすことがあります。実際に、「手がかゆくて皮膚科に行ったら、銀歯が原因だったとわかりました」という患者さんもおられました。一方で、セラミックやジルコニアなどの白い素材は、金属を含まないのでアレルギーの心配がありません。お口の中はもちろん、身体全体の健康にも配慮したいという方には安心しておすすめできます。

私自身は、患者さん一人ひとりの生活スタイルやご希望に合わせて、素材を一緒に選んでいくことを大切にしています。たとえば、「今回は保険で治して、将来的に自費のものに替える」という選択肢もありますし、「見た目より噛めることが最優先」という方もいらっしゃいます。それぞれの価値観に寄り添った治療ができるのが、今の歯科医療のよいところだと感じています。

もし素材選びに迷っている場合は、遠慮なく相談してくださいね。患者さんが安心して治療を受けられるように、丁寧にご説明いたします。