
歯ブラシって、毎日使うものだからこそ、ちょっとした疑問が積もっていきますよね。最近では「電動歯ブラシって実際どうなの?」という声を患者さんからよく聞きます。テレビやネットでは“歯科医推奨”と書かれているし、口コミでも評価が高い。でも、手磨きと比べて本当にそこまで違いがあるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
歯科医の立場から言えば、電動歯ブラシは確かにとても優秀なアイテムです。振動や回転などの自動機能によって、磨き残しを少なくしやすく、特に奥歯の裏側や歯と歯の間など、手ではなかなか届きにくい場所もしっかりカバーしてくれます。しかも、軽く当てるだけでいいので、力の入れすぎによる歯ぐきのダメージも避けられる。毎日3 分の歯磨きでも、効率よく、安定してケアできるのは大きな魅力です。
ただ、一方で「手磨きの良さ」も決して侮れません。自分の指先でコントロールできるからこそ、「今、ここを磨いている」という実感があり、丁寧に磨こうという意識も高まります。
⾧年の習慣で手磨きに慣れている方は、自分のクセを把握して上手にケアできる場合もありますし、実際にうまく磨けている方も多くいらっしゃいます。
とはいえ、どちらにも共通して言えるのは「正しい使い方をしてこそ効果が出る」という点です。電動歯ブラシも、ただ動かしているだけでは歯垢は取れませんし、手磨きも自己流で磨いていては汚れが残ってしまいます。つまり、“何を使うか”よりも“どう使うか”が大切なのです。
電動か手磨きか、どちらが良いかを決めるとき、私が患者さんにお話しするのは「自分の生活スタイルに合っているかどうか」を基準にしてみてください、ということです。朝の支度に時間をかけられない方や、手先が不自由な方、ご高齢の方などには電動歯ブラシはとても便利ですし、逆に歯磨きが好きで丁寧にケアする時間を持てる方なら、手磨きでも十分に口腔環境を保てます。
最近は電動歯ブラシも様々なタイプがあり、シンプルな機能のものから、圧力センサーやスマホ連動の高機能モデルまで多種多様です。でも、初めて使う場合は、あまり多機能にこだわらず、基本的な性能がしっかりしているものを選ぶのがおすすめです。替えブラシが手に入りやすいかどうかも意外と重要なポイントになります。
最近は電動歯ブラシも様々なタイプがあり、シンプルな機能のものから、圧力センサーやスマホ連動の高機能モデルまで多種多様です。でも、初めて使う場合は、あまり多機能にこだわらず、基本的な性能がしっかりしているものを選ぶのがおすすめです。替えブラシが手に入りやすいかどうかも意外と重要なポイントになります。
ここで注意していただきたいのが、「回転式電動歯ブラシ」の使い方です。回転タイプは歯の表面はしっかり磨ける反面、歯と歯の間(歯間)や歯周ポケットの汚れが取り残されやすい傾向があります。見た目にはツルツルに磨けていても、実は大切な部分に磨き残しが生じていることがあるのです。そのため、電動歯ブラシを使っている方でも、デンタルフロスや歯間ブラシを併用して、歯間のプラーク除去をしっかり行うことをおすすめします。
いずれにしても、「電動にすれば完璧」「手磨きだから不十分」といった単純な話ではありません。自分に合った方法で、毎日きちんと続けることこそが、何より大切なことです。そして、定期的に歯科医院でケアの状態をチェックしてもらうことで、より良い方法を見つけていくことができます。
道具はあくまで“手段”であって、“目的”は健康な歯と歯ぐきを保つことです。毎日使うものだからこそ、自分にとって無理なく、心地よく続けられる歯ブラシを選んでくださいね。