
インプラントを長く使っていただくために、どんなことが大切なのかを、今日はできるだけ分かりやすくお話ししたいと思います。インプラントはとても優れた治療で、しっかり噛めるようになるので、生活の質も大きく改善します。ただ、入れたら終わりではなく、きちんとしたケアを続けることで、本当に長持ちする治療になります。患者さんの中には「一生使えますか?」と聞かれる方も多いのですが、結論としては“ケア次第で十分長く保てる”というのが正直なところです。
まず、毎日の歯みがきはとても重要です。インプラント自体は虫歯にはなりませんが、その周りの歯ぐきが炎症を起こすことがあります。いわゆるインプラント周囲炎と呼ばれるものですが、これが進んでしまうとインプラントがぐらつく原因になります。普通の歯と同じように磨くのではなく、歯間ブラシやフロスを使って、細かいところまで汚れを落とすことが大切です。歯ブラシも硬すぎるものより、やわらかめかふつうのものを使って、やさしく丁寧に磨くと良いです。
それから、定期的なクリーニングと噛み合わせのチェックを受けていただくことも、インプラントを長く使うために欠かせません。ご自身では問題を感じていなくても、実は周りの歯ぐきが腫れていたり、噛み合わせがわずかにズレていたりすることがあります。インプラントは精密な構造でできているため、ほんの少しの噛み合わせの変化でも、長い目で見ると大きな負担になることがあります。特に噛み合わせはご自身で気づきにくい部分です。
当院では、2〜4ヶ月に一度の定期チェックをおすすめしています。より長持ちさせるためには、少し短い間隔で診させていただくほうが安心です。実際、こまめに来院されている方はトラブルも少なく、「来てよかったです」と言われることが多いです。
夜に歯ぎしりをしている方は、インプラントに強い力がかかりやすくなります。ご自身では気づいていないケースも多いので、歯がすり減っていたり、朝起きたときに顎が疲れていたりする方は、一度相談していただければと思います。必要に応じてマウスピースを使うと、インプラントだけでなく天然の歯も守ることができます。
また、日常生活の中でも気をつけていただきたいことがあります。例えば、氷を噛んだり、硬いせんべいを一気に噛み砕いたりするのは、インプラントにかなり負担がかかります。普段から硬いものを好んで食べる方は、少しだけ意識していただけると良いと思います。それから、喫煙される方は血流が悪くなり、歯ぐきの治りが遅くなる傾向があります。インプラントを長く保つためには、できる範囲で控えていただくのが理想です。
少しでも「インプラントの周りが腫れている気がする」「ブラッシングのときに出血がある」「なんとなく違和感がある」など気になることがあれば、遠慮なく早めにご相談ください。症状が軽いうちに対処すれば、大きなトラブルになる前に治すことができます。
インプラントは、うまく付き合えば本当に長く使える素晴らしい治療です。患者さん一人ひとりの生活スタイルに合わせて、できるだけ長持ちするようサポートしていきますので、気になることや不安なことがあれば、いつでも気軽にお声がけください。


