
前回の記事では、口腔癌の特徴や早期発見の重要性についてご紹介しました。今回は「もし口腔癌になったらどうするのか」「治療方法にはどのようなものがあるのか」、そして「ならないために日常で気をつけたいこと」について解説します。
口腔癌の治療は、一般的に外科手術・放射線治療・化学療法(抗がん剤)の3つを組み合わせて行います。早期に見つかった場合は、腫瘍の切除のみで治療が完了することもあり、予後は良好です。しかし進行した場合は切除範囲が広がり、発声や咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ=飲み込む動作)に影響が及ぶことがあります。場合によっては再建手術やリハビリが必要となることもあります。
もし口腔癌と診断されたら、まずは落ち着いて専門医の説明を受けましょう。不安を抱えるのは当然ですが、治療法は患者さん一人ひとりの状態に合わせて選択されます。大切なのは、「一人で悩まない」こと。ご家族や医療チームと気持ちを共有し、安心して治療に臨むことが回復への近道です。また、治療後も再発の可能性があるため、定期的な経過観察と生活習慣の見直しが不可欠です。
では、口腔癌にならないためにできることは何でしょうか。最大の予防策は、生活習慣の改善と口腔ケアの徹底です。
- 禁煙すること:タバコは口腔癌の最大のリスク要因です。喫煙者は非喫煙者に比べ数倍もリスクが高まるといわれています。
- 節度ある飲酒:アルコールも粘膜を刺激し、発癌のリスクを高めます。特に喫煙と飲酒を併用すると、さらに危険性が増します。
- バランスのとれた食生活:ビタミンやミネラルを多く含む野菜や果物を積極的に摂ることが大切です。
- 毎日の口腔ケア:歯磨きや舌清掃などを通じて、口腔内を清潔に保つこと。
- 定期的な歯科受診:虫歯や歯周病の予防だけでなく、口腔粘膜の状態をチェックできる点も重要です。
また、患者さん自身が日常的に鏡で口の中を観察し、「治らない口内炎」「しこり」「色の変化」などをチェックする習慣を持つと良いでしょう。
口腔癌は、発見が遅れるほど生活の質に影響を与える病気ですが、逆に言えば早く気づけば助かる可能性が高い病気でもあります。定期的に歯科医院を受診することは、虫歯や歯周病の予防に加え、命を守る大切な習慣にもつながります。
最後に、歯科医院は「痛くなったら行く場所」ではなく、「健康を守るために定期的に通う場所」であることを改めて意識していただければ幸いです。あなたの大切な毎日を守るため、どうぞ積極的に歯科を活用してください。
番町オーラルサージャリーデンタルクリニックは、口腔外科分野で培った豊富な経験をもとに、口腔癌の診断・治療・経過管理に強みを持っています。予防から治療、そしてその後のサポートまで、安心してご相談いただける体制を整えております。