子どもの虫歯は自然に治るって聞いたけど本当?


「子どもの虫歯は自然に治るって聞いたんですけど、本当ですか?」 お子さんを連れて来院された保護者の方から、よくいただくご質問です。

確かにインターネットや周りの人の話を聞いていると、「乳歯だから放っておいても大丈夫」「削らなくても自然に治ることがある」なんていう言葉を耳にすることがあるかもしれません。 でも、結論から言うと、子どもの虫歯は自然には治りません。

では、なぜ「自然に治る」と言われるのでしょうか? 実は、乳歯の虫歯には「初期むし歯」と呼ばれる段階があります。歯の表面が少し白っぽく濁ってきたり、つやがなくなったりする状態です。この段階では、まだ歯に穴はあいていません。フッ素を塗布したり、毎日の歯みがきをきちんと続けたりすることで、進行を止められることがあります。歯の表面が再び硬くなることもあり、「治ったように見える」ために「自然に治る」と思われてしまうのです。

ただし、ここで注意が必要です。あくまで「進行が止まる」だけで、完全に元の健康な歯に戻るわけではありません。一度でも穴があいてしまった虫歯は、自然に治ることは絶対にありません。そのままにしておくとどんどん進行し、痛みが出たり、神経まで到達してしまったりすることもあります。

さらに、乳歯の虫歯を放置すると永久歯にも悪い影響を与える可能性があります。乳歯の下にはこれから生えてくる永久歯が準備されていますが、乳歯が虫歯で炎症を起こすと、その下に控えている永久歯がダメージを受けてしまうことがあるのです。また、早くに乳歯を失ってしまうと、歯並びやかみ合わせにも影響することがあります。

つまり、「乳歯だから大丈夫」「自然に治る」というのは大きな誤解です。 大切なのは、虫歯を早期に発見し、適切に対応することです。

乳歯の虫歯は進行がとても早いので、保護者の方が気づいたときにはすでに治療が必要になっているケースが少なくありません。定期的な歯科検診を受けていただくことで、初期の段階で虫歯を見つけることができれば、削らずに済むこともありますし、治療が必要になったとしても負担を軽くすることができます。

お子さんの虫歯予防には、 ・仕上げみがきをしっかり行う ・甘いお菓子やジュースをダラダラと食べ続けない ・フッ素入りの歯みがき粉を使う ・定期的に歯科医院でフッ素塗布を受ける といったことがとても効果的です。

お子さんの歯は、将来の健康な歯並びや噛み合わせの基礎となる大切なものです。「自然に治るから」と安心して放置せず、ぜひ定期的に歯医者さんにチェックに来てください。